日本産の希少な天然石「日本銘石」を解説!
2024年7月9日
日本銘石とは
日本の各地から産出される天然石で、日本銘石協会が定める規定に基づいて銘石リストに登録されたものを「日本銘石」としています。
その石の産地や歴史、色彩、構造など、石としての総合的な魅力を持ち、それが価値として認められるものが対象となっています。
パワーストーンとして一般的に流通しているものもありますが、日本銘石の中には時代とともに注目されなくなった美しい石や、見た目だけでなく石が辿ってきた歴史や石の構造にこそ魅力があるものなどたくさん存在します。
そんな日本銘石を一部ご紹介いたします!
人気の日本銘石をご紹介
糸魚川翡翠
新潟県の糸魚川市は国内で唯一と言われている翡翠の産地で、現在は天然記念物となっているため採掘ができず、希少価値は年々増しています。
2016年には翡翠が日本鉱物科学会によって、日本を代表する石である国石に選ばれました。
翡翠は古代から宝石として珍重され、「玉」と呼ばれていました。
不老不死、生命の再生、富の象徴と考えられており、古くから権力の象徴として勾玉などに加工され、各地の古墳から出土しています。
翡翠は硬玉と軟玉の2種類ありますが、糸魚川翡翠は硬玉の本翡翠です。
5億年前に生成されたと考えられており、半透明で光を通します。
緑色のイメージがありますが、本来の色は無色透明です。
組成の違いによって、紫色のラベンダー翡翠や黒翡翠など様々な色が存在します。
神居古潭石
北海道の神居古潭渓谷から産出される石で、「神居古潭」はアイヌの言葉で「神々の住まう集落」を意味します。
霊力のある土地で信仰を集めており、神居古潭の石でストーンサークルを作り、神々に日々の感謝や祈りを捧げていました。
神居古潭石は神々の力が宿っていると考えられており、糸魚川翡翠と並んで日本を代表する霊石と言われています。
一億数千万年前に溶岩が地殻変動による圧力を受けて変成岩となったもので、黒色や緑色、藍色など多彩な色彩をもっています。
味わい深い光沢が魅力的で、観賞用として原石のまま販売されることもあります。
北海道の大自然の中で育まれた雄大な雰囲気が漂う風格があります。
ニニギ水晶
古事記に記述が残される、天孫降臨神話でも重要なし宮崎県。
延岡市のにし、高千穂ではその伝説が根強く残っています。
天孫降臨とは天照大御神の孫、ニニギノミコトが8柱の神と3種の神器を携え、地上に降りたといわれています。
ニニギノミコトは初代天皇・神武天皇の曽祖父にあたります。
天照大御神がお隠れになられた天岩戸伝説も、この宮崎県だといわれています。
水晶は万能なパワーストーンだといわれており、災いや魔を祓い、危険から守ってくれる石として世界中で愛されてきました。
ブラックシリカ
高温、高圧の状況が、良質な石の産地として北海道はとても有名です。
ブラックシリカは、数億年間、珪藻類が堆積し、長い年月をかけて自然の大きな圧力によって作り出された鉱物。
常温でマイナスイオンと遠赤外線を半永久的に放出し、乱れた気を正常に戻してくれます。
他にも水の浄化や土壌の改善など、農業での効果が期待され研究されています。炭素の性質をもつので、ゲルマニウムのように帯電しすぎた静電気や人間の電気信号を正常に機能させるといわれています。
伊勢石
日本七霊山の一つ釈迦ヶ岳(奈良県)。標高1799.5m。釈迦如来が住まわれるといわれるこの山は、現在国立公園となっており、原石の持ち出しは原則禁止となっております。
しかし、この山から流れ、三重県の川から算出されます。
バドガシュタイン鉱石のようにラジウムが多く含まれ、ラドンが発生する薬石の一つです。
花崗岩最強との呼び声もあるほどの放射線量を誇るといわれています。
そして、更には2014年にこの石から苦土イットリウムローランド石と呼ばれる新鉱物が発見され、鉱物としての価値も非常に魅力的といえます。
天照大神が鎮座されている伊勢神宮はこの地より100キロほど南になります。
鞍馬石
京都最強のパワースポットのひとつ、鞍馬山の石。
波動が非常に強い石とされています。ヒーリングの世界基準となった地とも知られ、各国からエネルギーを受けに多くの人が訪れます。
650万年前に、金星より人類を救済するためにヒンドゥ神話のサナトクマラ=護法魔王尊が鞍馬山に降り立ったといわれます。
牛若丸(源義経)が鞍馬天狗に武術を習ったのが、この地であることは有名です。
見た目は白いが、磁硫鉄鉱が含まれ、時間の経過とともに茶色く変化します。その変化が”わびさびの石”としても人気があります。
御嶽黒光真石
御嶽黒光真石は、御嶽山(長野県木曽郡三岳村)で採石される安山岩です。
嶽山は、富士山に次ぐ2番目高さの3,067m。古くから霊山とされ、江戸時代より、この石で霊神碑(れいじんひ)が制作され、御嶽山の守護石として2万という数が至る所に鎮座しています。
自然石信仰の御嶽山では、霊神の名前を印した御嶽黒光真石を建て、信者がこの山に眠れることでもあるといわれています。
御嶽黒光真石は安山岩で、玉石の状態で採掘され、ガラス光沢のある黒で、よく見ると細かな模様が入っており、一つとして同じものがありません。
日高翡翠
まさに北海道の大地を連想できるかのような癒やしのグリーンカラーにうっとりしてしまいそうです。
糸魚川産も有名ですが北海道の日高山脈から採掘される翡翠は知る人ぞ知る幻品!
クリーム色の母岩と入り混った自然が生み出す天然マーブル珠も美しいです。
日高翡翠は採掘自体が終了しているため現在は入手困難な希少レア品といえます。
1966年に日高町で翡翠が見つかったと話題になりました。
正確には翡翠ではなく、クロム透輝石の一種であり、クロムを1%ほど含有することにより淡い緑色を発色しています。
硬玉でも軟玉でもなく、しかしヒスイの特徴である織物状の構造をしていることや、色目や透明感などが翡翠に遜色ないことが認められ、
番場猛夫博士(当時地質調査所)が、宝石学会誌に論文を公表したことにより、硬玉、軟玉につぐ「第三の翡翠」として世界で認められました。
しかし、すぐに資源は枯渇し、1970年代をピークに忘れ去られようとしております。今後「幻の翡翠」として鉱物マニアの注目を浴びることは必至です。
他の成分としては、黒い斑点がスピネル。灰クロム柘榴石や、ペクトライトなどの角閃石類を確認することができます。
医王石
戸室山、医王山で採取される安山岩で、新第三紀中新世1500万年前の海底火山の噴火の時のものといわれています。
医王山は霊山としても祀られ、薬師如来が本地仏とされているだけでなく、落雷地として知られ、雷電のエネルギーが作用し、医王・戸室山系の岩石と植物に作用し、薬草が多く育ち、水質を名水に変化させるとする論文が、アメリカの学会で発表されました。
平安時代から薬石として知られ、腹痛、火傷、創傷、湿疹等に効果があるとして「医王石由来記」に記載され、加賀藩が持ち出し禁止として珍重しておりました。
元正天皇や桓武天皇が病気になられたときに薬草と医王石を処方され、完治したと伝えられています。
昭和60年に厚生労働省が食品添加物として認可されました。
※史実を元に記載するものであり、医薬品として推奨するものではありません。
兵庫県産 玄武岩
160万年前の火山活動により、山頂から流れ出たマグマが冷えて固まってできた石です。
産地の玄武洞は、自然のものではなく人口窟です。
天然記念物の玄武洞は、2010年には世界ジオパークにも認定されました。
四神の名前がつけられた、白虎洞、青龍洞、南朱雀洞、北朱雀洞と合わせ「玄武洞公園」と呼ばれています。
玄武洞の玄武岩の時期が、地球の磁場逆転を証明する証拠となった石で地球の歴史を記録する石とされています。